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倒産と再生の狭間でketsui

金融円滑化法終了

 生き残れる会社は3割くらいかも


中小企業金融円滑化法も終了しましたが、金融庁から「貸付条件の変更等に際しては、金融規律も考慮し、実効性ある経営再建計画(実抜計画)を策定・実行することが重要」との方針が出され、再度の条件変更契約を行う場合、改善計画策定が必要になりました。
実抜計画とは、「実現性の高い抜本的な経営改善計画書」の略でだそうですが、なんとも私たち一般人にはなじみの薄い金融用語です。
つまり、会社が実際にできる経営改善の計画書ということで、借入のためにできたらいいな〜的なものではなく、手堅くこれならいけるという計画書になります。そのため、提出したあと、その計画の最低でも8割以上の達成が必要となります。
 基本的には毎月各銀行へ計画と実績の比較表を持参し説明をしますが、最初の月から6割しかできなかったからダメという事はではなく、どのような要因で計画を達成できなかったのか、また、今後の改善の見通しや手法を説明する場と考えた方がいいでしょう。
計画は1年から3年の中期計画ですので、その中の1か月をとって判断することはありませんが、条件変更の見直しが概ね半年ごとだと思いますので、半年間全く成果が無い場合は、その計画自体の実現可能性が疑われますので何としても避ける必要があります。
 なお、金融円滑化法による借り入れの条件変更(リスケ・リスケジュール)は、40万社以上が申請したとも言われ、法人と個人の10%以上が申し込んだことになります。
 突然バッサリということは無いと思いますが、再度の条件変更契約を断られる会社が出てきてもおかしくはありません。
今年、来年と消費税増税にむけて重要な時期ということでしょうから、裏読みすると国も倒産件数を増やすようなことは無いと願ってますが、今年の7月に参議院選挙を控えていることと、ここ数年の金融機関での話し方だと、「社長、とりあえず決算書を見てから考えましょう、3月決算5月末の申告ですから、6月に決算書を提出してもらって、内容を検討し条件変更も8月の書き換えでいきましょう」という話からも、8月以降対応が分かれる可能性があるかもしれません。決算書の仕上げには十分な検討が必要でしょう。

「事業の継続可能性が見込まれない債務者」
金融庁が初めて債務整理が必要な企業について示しましたが、それは、事業の存続がいたずらに長引くことで、経営者の生活再建や、債権者となる取引先の事業等に悪影響が見込まれる債務者は、債務整理を前提とした方策を検討するという内容です。
更には
1、「信頼関係の構築が困難な債務者(会社)」、
2、「金融機関からの真摯な働きかけにもかかわらず財務内容の正確な開示に向けた誠実な対応が見られない債務者」
については債権保全の必要性を検討し、適切かつ速やかな対応を実施すると示された。つまり、貸付金の回収を早めなさいという意味であり、貸し剥しやサービサーへの債権売却の増加も懸念されている。
このような判断をされないためにも経営改善計画書策定が必要ですが、今の時点で未提出なのに金融機関から提出依頼が来ていない場合、金融機関としてあなたの会社は
「事業の継続可能性が見込まれない債務者」と仕分けられた可能性があるといえます。

仮に支援しない企業となれば、今後の動きは最悪の場合、以下のようになると思われます。

前回の条件変更から6ヶ月(1年)になりそうなので条件変更の延長(再契約)を金融機関にお願いする。
           ↓
銀行から延長(再契約)は難しいので契約期間終了後、当初の約定(返済額)での返済になるといわれる。
           ↓
借入返済不能、もしくは税金の滞納、支払先への支払いの延期
           ↓
期限の利益喪失(約定返済違反)
           ↓
債権の売却(サービサー等に借入債権を売られる)


中小企業経営者の再建意欲
同様に金融庁円滑化法指針には
「何よりもまず、債務者自身が、自らの本質的な経営課題を正確かつ十分に認識し、当該経営課題に対して真正面から向き合った上で、経営改善、事業再生等に意欲を持って主体的に取り組んでいくことが重要」と、記載されている。
借りた金は返すのが原理原則である。返済したくても返済できない現状を認識し、経営者の再建意欲と真摯な態度が事業再生には最も重要な要素である。
その意味でも金融円滑化法は企業を再生させるために残された唯一の手段だったといえまが、新規融資の道が閉ざされることもあり、売上向上策などの前向きなチャレンジというよりは、リストラ・コストダウン・縮小など後ろ向きな策になることが多く基盤強化と割り切っていくことが重要だと思います。

平成25年3月の出口戦略って?
●金融規律の確保として対象になる会社の実態に応じた適切な債務者区分・
引当てをして銀行の決算に計上する貸倒引当金の計算をします。

●できるだけ傷を大きくしないように会社整理などの退出支援などをする。

●銀行側としては、零細企業は資産もなく事業が単一の場合が多いため、銀行としての経営改善支援には限界があり、奇跡的に景気が良くならないと、経営改善は難しいので、おのずと支援も難しいとなる。

●このような場合でも信金や信組などの地域に密着した金融機関の場合、企業経営者に事業継続の強い意志がある場合は、

@引き続きリスケの申し込みには応じ、出口戦略を共に検討していく(息の長い地道な経営改善支援)、

Aその後、利息の支払いも目途が立たないことが明らかになれば、企業経営者の理解を得た上で債務整理等を検討していくことが多いのではないかと考えます。